おちるのです おちるのです
こう言っていると本当におちるのです
湯飲みの中で檸檬がまがっているのは無理やり押し込んだからなので
そうやってすいもあまいも嗅ぎ分けているのです
ああそういえばかつて縁側ではじめたあの双六は
今はどこにあるのですか
私には唯一の思い出
サイコロが転がっていった軒下を掘り返したことが忘れられません
土の匂いは 食欲を刺激する
埋まっていたのは 錆びた湯たんぽだったのでした
鉄製の湯たんぽはそのままではちと熱い
ゆっくりとじんわりと火傷をしてしまう
魚の名前はなかなか覚えられませんが
うなぎを焼く時の匂いは睡魔をさそうでしょう
うなぎは魚ヘンになんと書くのですか
知っていたらはがきに大きく書いて送ってください
多分そのはがきが届く頃 私はあの家には居ないでしょう
すいません 聞いたような事を言って
おちるのです おちてくるのですがそのまえに
まずは耳掃除をしてください そのひざで
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