おいてきたの おいてけぼりを おいかけながら
水をたっぷりと含んだ雲が落ちてきそうで、
書いていた10枚目の便箋を破る。
なんとなく、が泳いでいる内田百閒を
なんとなく、閉じて、
3日前に煮込んだ豆を、30粒、口に入れる。
なんで?なんとなく。
10枚、3日、30粒。
生きている世界には数字が沢山だけれど数字なんてたいしたものじゃない。
というところでやけに、コクトーと同じ。
コクトー?
知らない人のことだよ。
あらんかぎりのちからでもって、
知ってるふりをしてるだけ。
会ったこともない。
なんとなく、が
思い込み、
思い込み、が
世界をつくる
「僕は世界を憎んでいる。けれどあなたのことを愛している。」
耳元でささやく誰かを道の途中で忘れてきて
ごめんなさい、ごめんなさい。
そして来た道は、トンネルの途中で消えて。
「僕は世界を愛している。そして君のことを憎んでいる。」
だから、手をつないで眠ればいい。
同じことだよ。
ぽとり、と
ぐしゃり、と
ばちゃん、と
外で音がするから、
15センチだけ窓を開けて覗いたら、
やっぱり、雲が落ちている。
アスファルトに沁み込んで、逃げてしまおうとするので、
こっそり持ち帰って一緒に暮らす。
あなたはまだ、水ではないのだから。
奥深い土の中に、消えることなんて出来ない。
でも大丈夫。私がいるから、大丈夫。
私は世界を愛そうと決めた。
そしてあなたのことはきっと、
ずっと、憎んでいたんだね
ずぅっと、愛していたんだね。
サラサーテをかける。
誰も何もつぶやいてなんていないけど、
私は答えたの。
聞こえないはずの問いに、
何度も答えたの。
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