水車が
橋の下で
まわる 転がる
あの時押し倒された右の腕と左のほほと少し後ろの背骨が軋んでいる
咲く花があったから枯れる花があったのだと教わって香りをかいだ墓で
水が流れるのなら大きなものも流せるのでしょうか年に一度くらいと聞いて
答える前に去っていった無口な初老の紳士は帽子を深くかぶっていた
振り返ることは拾うことだと捨てることだと
散歩しながら道で振り返る練習をした日々に
彼岸花の群生は決して見て見ぬふりをしないのだから
一生この花を摘んで旅しなければなりませんねそうですね
尋ねたのはろくでなし
答えを知りたくない暇つぶし
小石をけるところころと転がっていくから追いかけようとして
追いかけようとしている時間と追いかけようと考えている時間の間に
蜘蛛の糸をひいたのだ だから間に合わない もう間に合わないのだと
彼岸花のせいにして
彼岸花の首を折るのはやめにして
あふれそうだからこぼすのだという言い訳を聞くのが
精一杯なのだね彼岸花
赤いのか赤かったのか彼岸花
流れている水の中で濡れていたのは彼岸花
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