「出産方面」: 彼岸花咲いたのかそれは悲しい願い

2009年7月20日月曜日

彼岸花咲いたのかそれは悲しい願い

水車が
橋の下で
まわる 転がる 

あの時押し倒された右の腕と左のほほと少し後ろの背骨が軋んでいる
咲く花があったから枯れる花があったのだと教わって香りをかいだ墓で
水が流れるのなら大きなものも流せるのでしょうか年に一度くらいと聞いて
答える前に去っていった無口な初老の紳士は帽子を深くかぶっていた

振り返ることは拾うことだと捨てることだと
散歩しながら道で振り返る練習をした日々に
彼岸花の群生は決して見て見ぬふりをしないのだから
一生この花を摘んで旅しなければなりませんねそうですね
尋ねたのはろくでなし
答えを知りたくない暇つぶし

小石をけるところころと転がっていくから追いかけようとして
追いかけようとしている時間と追いかけようと考えている時間の間に
蜘蛛の糸をひいたのだ だから間に合わない もう間に合わないのだと
彼岸花のせいにして
彼岸花の首を折るのはやめにして

あふれそうだからこぼすのだという言い訳を聞くのが
精一杯なのだね彼岸花
赤いのか赤かったのか彼岸花
流れている水の中で濡れていたのは彼岸花

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