「出産方面」: 多い日は安心できず悪夢を見る

2009年7月23日木曜日

多い日は安心できず悪夢を見る

耕されちゃって多い日
昼寝をする

合宿か修学旅行かわからんけど
女子が集団で移動して、
セーラー服という呪術に身をつつむ私

乗りかえが多すぎて
乗りかえが多すぎて
もう移動するために乗りかえてるのか
乗りかえるために移動してるのかわからんし
もうもうもうもう
私は女子とはぐれる

急いで行く急行
快く速く快速
特別急ぐよ特急もう!
どれに乗っていいのやら

わからないので駅前にいた野球選手の車に乗る

怒ってる私は野球のルールいっさい知らんし
野球と呼ばず、玉投げ玉打ちと呼んでるよ
にくたらしいことをわざわざ言う
野球選手は笑う
幻想ルールで成り立つ勝敗幻想がなければ
スポーツという幻想もないのだよ
言いながら、あくびしながら、ライオンみたく笑う

わりといい人だったから、
野球選手の母親の墓参りに付き合った
駅に戻ると女子の一人が探しにきてくれた

乗りかえが移動のためなのか
移動が乗りかえのためなのかわからなくなった旨を話す
うんうん、わかるわかる
でも私ら、乗りかえるために生きてるからね
と女子は言い、長い黒髪が風になびく
班長らしい女子からの携帯電話
そのときはじめてわたしは、
スーツケースをどこかに忘れてきたことに気がつく
班長女子、ざぶざぶ泣く
なんであんたが、ざぶざぶ泣くの?
私のスーツケースの中には、ルネッサンスだか北方ルネッサンスだか、
ポップアートだかわからないけれども、
えらいゲージツの人の100号の油絵が入っていたのに
どう責任取ればいいの班長として、と泣く

そんなでかいの、入りませんよ

でも入っていると泣く 乙女チックな電話声
班長は乙女であった!
昨晩旅館の大浴場で、乙女班長の指示のもと
女子がいっせいに腋毛を剃っていた景色を思い出し
また怒ってきたは私は
ていうか、スーツケースの中には、古い本が一冊入っていたし
他にもいろいろ、ブラジャーとか、ニップレスとか、ロリエ夜用とか、
フェミニーナ軟膏とか入っていて、そっちの方が問題なんですけど

問題じゃない! ゲージツの方が大問題!
乙女班長は泣きながら怒鳴る 
乙女班長は腋毛をなかったことにするし
だみ声という凶器を知らずにいられる

探しに来てくれた女子が携帯電話に出て、
乙女班長をなぐさめ 私をなだめる

正しき乗りかえの順番を教えてくれて
親切な女子と、共に、列車の座席に
座る探しにくる、迎えにくるという行動に感謝して
あんた、お母さんみたいだね、と言ってみる

なんで?
わからんけどお母さんて、そんなかんじ
あんたのお母さんの話でしょ 
私のお母さんは半分男でした 私も半分男です
でもあんた、ミニスカよくはいてるジャンお色気ジャン
あれも呪術です
ジュジュツ?
名前呼ぶと呪いがとけるのと同じ原理
ミニスカートの件なんですけど
いやだから、呪いを無効にする呪い
ようするに男の気を引きたいんでしょ
それもすごい呪いだけど、私自分の足は好き
ほらほらほらほら
でも足もニノウデも腋も除毛脱毛したことないし
マジで
それもそれで呪術がえし
ていうか、毛、薄いだけじゃん

ああ、ああ、女子の話はこうやってすれ違い
女子は何度も乗りかえる
生きるため、らしいので 置き忘れた荷物をあきらめて
ああ、ああ、もうもうずーっと乗りかえるのはしんどいです
そもそも、帰るのですか、まだ行くのですか

悪い夢を見た!と大声で叫び目を覚ます
激痛を抱えながら冷蔵庫をあけ、きゅうりとタッパーを取り出す
タッパーの中には、大量の卵子のような、もろみ味噌
使わなかった卵子はこれくらいだろうかしら
きゅうりを切って、もろみ味噌を乗せ
モロキュウ、という名前のものを食べる

もろ、きゅうり
もろ、おんな
拒んでも、向こうからやってくる
もうもういっそ、多い日には、
これくらいどばっと出血大サービスの卵子でいいような
でも呪いはさすが
徐々に徐々に、効いてくる

気がつけば、腋に三本、毛が生えている

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